基本情報技術者試験における情報システム戦略について その壱

目次

情報システム戦略とは

情報システム戦略とは、企業の経営戦略に基づいて情報システムを効果的に活用し、中長期的な経営目標を達成するための施策を指します。単なるシステム導入計画ではなく、経営全体の方向性と密接に結びついた戦略的取り組みです。

オルビナ/基本情報技術者専門官

情報システム戦略がない場合、部門ごとに努力の度合いが異なり全体の効率が損なわれることがあります。  
例えば、A課が一生懸命に大量生産しても、B課の処理が追いつかなければ在庫が滞留し、企業全体の成果にはつながりません。
そこで情報システム戦略を導入すると、A課とB課の業務が連携し、同じ水準で生産・処理が進むようになります。結果として、組織全体のバランスが取れ、効率的に目標を達成できるのです。

その目的は大きく三つに整理できます。  

第一に、経営戦略との整合性を確保することです。情報システムは企業活動を支える基盤であり、経営方針と乖離したシステムは投資効果を損ないます。したがって、経営戦略と情報システム戦略を一致させることが不可欠です。

第二に、全体最適化を実現することです。部門ごとに独立したシステムを構築すると、情報の分断や業務効率の低下を招きます。情報システム戦略では、部門横断的な業務連携を促進し、組織全体の最適化を目指します。

第三に、投資対効果(ROI)の最大化です。情報システムは多額の投資を伴うため、その効果を定量的に評価し、費用対効果を最大化することが重要です。ROIを意識した戦略的投資により、企業は持続的な競争力を確保できます。

オルビナ/基本情報技術者専門官

このように、情報システム戦略は「経営戦略との整合性」「全体最適化」「投資対効果の最大化」という三本柱を中心に構築され、企業の成長と競争優位性を支える重要な役割を果たします。

策定手順

情報システム戦略を策定する際には、経営戦略との整合性を意識しながら、体系的な手順を踏むことが重要です。一般的な流れは以下の通りです。

まず、企業が掲げる経営戦略を確認します。情報システムは経営目標を支える基盤であるため、経営方針と乖離しないことが前提となります。

次に、業務環境や情報技術の分析を行います。市場動向や競合状況、最新のIT技術を把握し、自社の業務課題や改善余地を明確にします。

その上で、将来のあるべき姿を描いた基本戦略(To-beモデル)の策定に進みます。ここでは、現状(As-is)と理想像(To-be)のギャップを整理し、全体最適化を目指した方向性を示します。

続いて、戦略を実現するための投資目標を設定します。ROI(投資利益率)や費用対効果を考慮し、優先順位を明確にすることで、効率的な資源配分が可能になります。

最後に、これらを統合した情報システム戦略案を策定し、承認を得ます。経営層や関係部門の合意を得ることで、戦略が実行可能な計画として定着します。

オルビナ/基本情報技術者専門官

情報システム戦略を軽視して進めてしまうと、十分な効果が得られず、多額の投資が無駄になる危険があります。だからこそ、最も重要なのは 「将来のあるべき姿を明確に把握すること」 です。
もし企業が100周年を迎えるような長期的な成長を目指すなら、まずは未来の姿を具体的に描き、その方向性に沿って情報システムを整備する必要があります。将来像を描かずに戦略を立てても、短期的には動いても長期的には不向きとなり、持続的な競争力を失ってしまいます。
さらに、その「あるべき姿」を共有するためには、経営層と現場、情報システム部門の間での コミュニケーションが不可欠 です。部門間で認識を合わせることで、全体最適化が進み、戦略が実効性を持つようになります。

この一連の流れは、基本情報技術者試験でも頻出のテーマです。特に「システム化基本計画」と「全体最適化計画」は、試験問題で繰り返し問われる重要ポイントであり、確実に理解しておく必要があります。

組織体制と役割

情報システム戦略を効果的に推進するためには、明確な組織体制と役割分担が不可欠です。まず中心となるのが CIO(Chief Information Officer) です。CIOは情報戦略の最高責任者として、経営戦略と情報システム戦略の整合性を確保し、企業全体のIT活用をリードします。

オルビナ/基本情報技術者専門官

ちなみに、CIOは企業のIT戦略を担う重要ポジションであり、一般的に非常に高額な報酬が設定されることが多く、数千万円規模の年収となるケースもあります。

次に、戦略的な意思決定を担う 情報システム戦略委員会 が設置されます。この委員会は経営層や各部門の代表者で構成され、システム化計画や投資方針など、企業全体に影響を与える重要事項を審議・決定します。

さらに、実務を担うのが 情報システム部門 です。ここではシステムの設計・運用・保守を専門的に行い、日常的な管理やトラブル対応を通じて戦略の実効性を支えます。

オルビナ/基本情報技術者専門官

このように、CIOが方向性を示し戦略委員会が意思決定を行い情報システム部門が運用を担うという三層構造によって、情報システム戦略は組織全体に浸透し、持続的な成果を生み出す仕組みとなります。

情報システム投資計画

情報システム投資計画は、企業が限られた資源を効率的に活用し、経営戦略に沿った成果を得るための重要なプロセスです。投資の妥当性や効果を明確にするために、以下の三つの視点が用いられます。

IT投資評価

まず、IT投資評価です。これは投資のライフサイクルに沿って「事前評価」「中間評価」「事後評価」の三段階で行われます。

事前評価:投資の目的や期待効果を明確化する段階

中間評価:進捗や成果を確認し、必要に応じて修正を加える段階

事後評価:最終的な効果を測定し、次の投資に活かす段階

オルビナ/基本情報技術者専門官

この流れは、改善を繰り返す PDCAサイクル に似ています。評価を繰り返すことで弱点を発見しやすくなり、投資の精度を高めることができます。結果として、ROI(投資利益率)の最大化や全体最適化に繋がります。

ITポートフォリオ

最後に、ITポートフォリオの考え方があります。これは複数の投資案件を「リスク」や「価値」の観点で分類し、全体として最適な資源配分を行う手法です。例えば、短期的な効率改善を狙う案件と、長期的な競争力強化を目指す案件をバランスよく組み合わせることで、投資効果を最大化できます。

オルビナ/基本情報技術者専門官

例えば、A課には十分な資源がある一方で、B課は資源不足に陥っているとします。この場合、B課に資源を供給することで、全体としてより高い品質や大量生産が可能になります。つまり、特定部門だけを強化するのではなく、組織全体のバランスを取ることが重要です。

オルビナ/基本情報技術者専門官

ここまで読んでくると、情報システム戦略とは 「未来像を描き全体最適化投資効果を両立させるための指針」 であり、基本情報技術者試験の対策としても、実務理解としても欠かせない知識だと分かります。

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この記事を書いた人

ITTIのアバター ITTI 運営長

私はフロントエンドエンジニアを目指す初心者で、ITパスポートを取得済みです。現在はCopilotを活用しながらAIや最新のIT技術を学び、日本の開発現場で求められるチーム開発やセキュリティの知識を吸収しています。学んだことはコードや仕組みを整理し、わかりやすく発信することで、同じ学びの途中にいる人たちの力になりたいと考えています。

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