はじめに
晴央/DX本部長最近、ニュースで「サイバー攻撃」や「情報漏洩」という言葉を聞くことが増えていませんか?企業や組織がこうした脅威から身を守るために使っているのが「SIEM(シーム)」という仕組みです。



この記事では、ITに詳しくない方でも理解できるよう、SIEMの意味から最新トレンドまでをわかりやすく解説します。
SIEMって何の略?どういう意味?



SIEMは「Security Information and Event Management」の略称で、日本語では「セキュリティ情報イベント管理」と訳されます。
この言葉は2005年に、IT調査会社のガートナー社によって提唱されました。簡単に言うと、SIEMは「会社のコンピューターやネットワークを24時間監視して、怪しい動きがあったら教えてくれるシステム」のことです。
たとえるなら、大きなマンションのセキュリティ管理室のようなものです。マンションの各部屋(パソコンやサーバー)、玄関(ネットワーク機器)、駐車場(データベース)など、あらゆる場所に設置された監視カメラの映像を1か所に集めて、不審者がいないかをチェックしている、そんなイメージです。
SIEMは何をしてくれるの?





SIEMが行う主な仕事は、大きく分けて3つあります。
1. ログの収集と一元管理
会社の中には、パソコン、サーバー、ネットワーク機器、ファイアウォール、業務アプリなど、たくさんのIT機器があります。それぞれの機器は「ログ」と呼ばれる記録(誰がいつ何をしたか)を残しています。
SIEMは、これらバラバラに存在するログを1か所に集めて、まとめて見られるようにします。これを「一元管理」と呼びます。
2. 異常の検知と分析
ログを集めるだけでなく、SIEMはそれらを自動で分析し、「おかしな動き」を見つけ出します。
例えば、こんなケースを考えてみてください。
- 深夜3時に、普段は使われない社員のアカウントでログインがあった
- 同じパスワードで何十回もログインに失敗している
- 海外から急に大量のデータアクセスがあった
人間がすべてのログを目で確認するのは不可能ですが、SIEMなら「これは怪しい!」というパターンを自動で見つけ出し、アラート(警告)を出してくれます。
SIEMの最大の特徴は、異なる場所で起きた「点」の出来事を組み合わせて「線」として捉える「相関分析」です。 例えば、「深夜のログイン」だけなら単なる残業かもしれませんが、そこに「普段アクセスしない機密フォルダへの閲覧」が重なると、SIEMは「これは内部不正の疑いがある」と判断します。バラバラの情報をパズルのように組み合わせることで、巧妙に隠れたリスクをあぶり出します。
3. 報告書の作成
SIEMは、何が起きたかを記録し、レポートにまとめる機能も持っています。これは、セキュリティの監査や、法律で求められるコンプライアンス(法令遵守)の証拠として活用されます。
なぜ今、SIEMが必要なのか?


サイバー攻撃の急増と巧妙化
警視庁の報告によると、サイバー犯罪の検挙件数は年々増加しています。しかも、攻撃の手口はどんどん巧妙になっており、1つのセキュリティソフトだけでは防ぎきれなくなっています。
現在のセキュリティ対策は「多層防衛」が主流です。つまり、ウイルス対策ソフト、ファイアウォール、侵入検知システムなど、複数のツールを組み合わせて防御します。しかし、これらのツールがそれぞれバラバラに動いていては、全体像が見えません。SIEMは、これらを統合して「全体を見渡せる目」を提供してくれるのです。
内部不正への対策
実は、セキュリティ事故の原因は外部からの攻撃だけではありません。社員による情報の持ち出しや、ミスによる情報漏洩も大きな問題です。SIEMは「入退室のログ」と「パソコン操作のログ」を組み合わせて分析することで、「その部屋にいないはずの人がパソコンを操作している」といった矛盾も発見できます。
「何も信じない」ゼロトラスト時代の必須ツール
かつては「会社の外壁(境界線)」を守れば安全でしたが、今はクラウド利用やテレワークが当たり前になり、どこに敵が潜んでいるか分かりません。 「すべてを疑い、常に監視する(ゼロトラスト)」という考え方が主流となった2026年、あらゆるIT機器の動きをリアルタイムで監視し続けるSIEMは、企業のセキュリティ戦略の「心臓部」となっています。また、DXによってログの量が膨大になり、もはや人間の目では監視しきれなくなったことも、AIを搭載したSIEMが求められる大きな理由です。
2026年最新トレンド:SIEMはどう進化している?



SIEMは誕生から約20年が経ち、大きく進化しています。2026年現在、注目されている最新トレンドをご紹介します。
1. クラウドネイティブSIEMの普及
従来のSIEMは、自社でサーバーを用意して運用する必要がありました。しかし現在は、Microsoft SentinelやGoogle Chronicle のように、クラウド上で提供されるSIEMが主流になりつつあります。
クラウド型は、導入が簡単で、使った分だけ料金を払う従量制のため、中小企業でも手が届きやすくなっています。
2. AIと機械学習による自動検知
最新のSIEMには、AI(人工知能)や機械学習が組み込まれています。これにより、過去になかった新しいタイプの攻撃も、「普段と違う行動パターン」として検知できるようになりました。
例えば、ある社員が毎日9時から18時まで働いているのに、突然深夜にログインして大量のファイルをダウンロードし始めたら、AIがそれを「異常」と判断してアラートを出します。
3. SOAR(ソアー)との連携
SOAR は「Security Orchestration, Automation and Response」の略で、セキュリティ対応の自動化ツールです。SIEMが「怪しい!」と検知したら、SOARが自動で「そのアカウントを一時停止する」「担当者にメールを送る」といった対応を行います。
人手不足が深刻なセキュリティ業界において、この自動化は非常に重要な進化です。
4. UEBA(ユーバ)による行動分析
UEBA は「User and Entity Behavior Analytics」の略で、ユーザーやシステムの「行動パターン」を学習・分析する技術です。次世代SIEMには、このUEBAが標準で搭載されていることが多くなっています。
SIEMのメリットとデメリット


メリット
- 脅威の早期発見:異常をリアルタイムで検知し、被害が拡大する前に対処できる
- 全体の見える化:社内のセキュリティ状況を一目で把握できる
- コンプライアンス対応:監査に必要な証跡を自動で残せる
- 業務効率化:手作業でログを確認する手間がなくなる
デメリット
- 導入コスト:高機能な製品は費用が高額になる場合がある
- 運用の専門知識:アラートを正しく判断するには専門スキルが必要
- アラート疲れ:設定が不適切だと大量の警告が出て、本当の脅威を見逃す恐れがある
まとめ
SIEMとは、企業のセキュリティを守る「統合監視システム」です。さまざまな機器からログを集め、AIの力で怪しい動きを自動検知し、素早い対応を可能にします。



2026年現在、SIEMはクラウド化・AI活用・自動化といった進化を遂げ、以前より導入しやすく、使いやすくなっています。サイバー攻撃がますます巧妙化する中、SIEMは企業の「デジタルの番人」として、これからも重要性を増していくでしょう。










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