技術的セキュリティ対策とは?2026年の最新動向と具体例を徹底解説

目次

はじめに

墨蘭/情報セキュリティマネジメント副専門官

近年、私たちの生活のあらゆる場面でインターネットが活用されるようになりました。買い物、銀行取引、コミュニケーション、仕事まで、デジタル技術なしには考えられない時代です。しかし、便利さの裏側には常に「サイバー攻撃」や「情報漏洩」といったリスクが潜んでいます。

そこで重要になるのが「情報セキュリティ対策」です。その中でも特に「技術的セキュリティ対策」は、私たちのデータや情報システムを守るための要となる取り組みです。この記事では、技術的セキュリティ対策とは何か、具体的にどのような対策があるのか、そして2026年の最新動向まで、専門用語をできるだけ避けながらわかりやすく解説します。


情報セキュリティ対策は3種類に分けられる

墨蘭/情報セキュリティマネジメント副専門官

まず、情報セキュリティ対策の全体像を理解しましょう。セキュリティ対策は大きく分けて「人的対策」「物理的対策」「技術的対策」の3つに分類されます。

【人的対策】 とは、従業員の教育やルール作りなど、人間が原因で起きるセキュリティリスクを防ぐための対策です。例えば、パスワードの適切な管理方法を社員に教えたり、怪しいメールを開かないよう注意喚起したりすることがこれにあたります。

【物理的対策】 とは、建物や設備など、物理的な環境を守るための対策です。オフィスへの入退室を管理したり、監視カメラを設置したり、パソコンを盗まれないように鍵のかかるロッカーに保管したりすることがこれにあたります。

【技術的対策】 とは、コンピューターやネットワークの技術を使って情報を守る対策です。ウイルス対策ソフトを入れたり、データを暗号化したり、外部からの不正アクセスをブロックする仕組みを導入したりすることがこれにあたります。

これら3つの対策はどれか1つだけでは不十分で、バランスよく組み合わせることが重要です。例えば、どんなに高度なセキュリティソフトを入れても、従業員が不注意でウイルス付きのメールを開いてしまえば意味がありません。


技術的セキュリティ対策とは何か

墨蘭/情報セキュリティマネジメント副専門官

改めて、技術的セキュリティ対策の定義を確認しましょう。技術的セキュリティ対策とは、「ハードウェア(パソコンやサーバーなどの機器)やソフトウェア(アプリやプログラム)、ネットワークなどのIT技術を用いて、情報システムやデータを外部の脅威から守るための対策」のことです。

わかりやすく言えば、「デジタル技術で作る防犯システム」のようなものです。家の防犯で例えると、人的対策は「家族全員が戸締りの習慣をつける」こと、物理的対策は「鍵を新しいものに交換する」こと、そして技術的対策は「センサー付きの防犯アラームを設置する」ことに相当します。

技術的セキュリティ対策が対象とする脅威には、ウイルス感染、不正アクセス、データの盗難や改ざん、サービス妨害攻撃など、さまざまなものがあります。それぞれの脅威に対して、適切な技術的対策を講じる必要があります。


技術的セキュリティ対策の具体例

墨蘭/情報セキュリティマネジメント副専門官

技術的セキュリティ対策には、さまざまな種類があります。ここでは、代表的なものをいくつかご紹介します。

1. ファイアウォール

ファイアウォールは、直訳すると「防火壁」という意味です。インターネットと社内ネットワークの間に設置し、外部からの不審な通信をブロックします。いわば、家の玄関で不審者の侵入を防ぐ門番のような役割を果たします。

ファイアウォールは、あらかじめ設定されたルールに基づいて、許可された通信のみを通過させ、それ以外はブロックします。企業だけでなく、家庭用のルーターにもファイアウォール機能が搭載されていることが多いです。

2. ウイルス対策ソフト(アンチウイルスソフト)

パソコンやスマートフォンに侵入しようとするウイルスやマルウェア(悪意のあるプログラム)を検知し、削除するソフトウェアです。常に最新の状態に更新しておくことで、新しい脅威にも対応できます。

最近のウイルス対策ソフトは、既知のウイルスだけでなく、未知の脅威もAI技術を使って検知できるものが増えています。パソコンやスマートフォンを使う上での基本中の基本と言える対策です。

3. データの暗号化

暗号化とは、データを特殊な方法で変換し、正しい「鍵」を持っている人だけが読めるようにする技術です。万が一データが盗まれても、暗号化されていれば内容を見ることはできません。

例えば、ネットショッピングでクレジットカード情報を入力するとき、その情報は暗号化されて送信されています。ブラウザのアドレスバーに表示される「https://」の「s」は、通信が暗号化されていることを示しています。

4. アクセス制御

「誰が」「どの情報に」アクセスできるかを制限する仕組みです。例えば、一般社員は見られないけれど、経営陣だけが閲覧できる機密資料を設定することができます。

必要な人だけが必要な情報にアクセスできるようにすることで、情報漏洩のリスクを減らします。この考え方は「最小権限の原則」と呼ばれ、セキュリティの基本原則の1つです。

5. 多要素認証(二段階認証)

パスワードだけでなく、スマートフォンに送られてくる確認コードや指紋認証など、複数の方法で本人確認を行う仕組みです。パスワードが漏れても、別の認証がなければログインできないため、セキュリティが格段に向上します。

銀行のオンラインバンキングやSNSなど、多くのサービスで多要素認証が採用されるようになっています。設定できるサービスでは、積極的に有効化することをお勧めします。

6. バックアップ

定期的にデータのコピーを別の場所に保存しておくことです。ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)に感染してデータが使えなくなっても、バックアップがあれば復旧できます。

重要なのは、バックアップをネットワークから切り離された場所にも保存しておくことです。ネットワークに接続されたバックアップだけでは、ランサムウェアがそこまで感染してしまう可能性があります。

7. 脆弱性診断とパッチ適用

ソフトウェアやシステムの弱点(脆弱性)を定期的にチェックし、発見された弱点を修正する「パッチ」を適用することです。家で言えば、壁にヒビが入っていないか点検し、見つかったら補修するようなものです。

WindowsやmacOSなどのOSや、各種アプリケーションは定期的にセキュリティアップデートを配信しています。これらを速やかに適用することで、既知の脆弱性を悪用した攻撃を防ぐことができます。

8. ログ監視・不正検知システム

システムやネットワークの動作記録(ログ)を監視し、不審な活動を検知するシステムです。IDS(侵入検知システム)やIPS(侵入防止システム)と呼ばれるものがこれにあたります。

泥棒が家に侵入しようとしたときに警報を鳴らすセキュリティシステムのように、サイバー攻撃の兆候を早期に発見し、被害を最小限に抑えることができます。


2026年の最新動向

墨蘭/情報セキュリティマネジメント副専門官

2026年は、日本企業のセキュリティ対策において大きな転換点となる年です。いくつかの重要な動きをご紹介します。

経済産業省の「セキュリティ対策評価制度」の開始

2026年10月から、経済産業省が主導する「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」が運用開始される予定です。この制度は、企業のセキュリティ対策レベルを★3から★5までの段階で評価・可視化するものです。

なぜこのような制度が始まるのでしょうか?近年、サプライチェーン攻撃と呼ばれる、取引先企業を経由したサイバー攻撃が増加しています。攻撃者は、セキュリティが強固な大企業を直接狙うのではなく、防御が手薄な取引先を踏み台にして侵入するのです。

この制度により、取引先のセキュリティレベルが一目でわかるようになり、安全な取引環境の構築が期待されています。評価基準は、ガバナンス整備、取引先管理、リスクの特定、システムの防御、攻撃等の検知、インシデントの対応・復旧といった観点から構成されており、米国NISTの「Cybersecurity Framework 2.0」等の国際基準に準拠しています。

AIを活用した攻撃と防御の高度化

2026年は、AI(人工知能)がサイバーセキュリティの分野でさらに存在感を増す年になると予測されています。攻撃者側はAIを使って、より巧妙なフィッシングメールを自動生成したり、脆弱性を自動で探し出したりするようになっています。

特に注目すべきは、ランサムウェア攻撃グループがエージェント型AIを活用し、攻撃の大部分を自動化する動きです。AI搭載ツールが脆弱性のスキャン、攻撃手法のリアルタイム適応、攻撃の全工程の実行まで担えるようになりつつあります。

一方、防御側もAIを活用し、不審な通信パターンを自動検知したり、攻撃の兆候をいち早く察知したりする技術が進化しています。まさに「AIとAIの攻防」が繰り広げられる時代に入っています。

ゼロトラストモデルの普及

「ゼロトラスト」とは、「何も信頼しない」という考え方に基づくセキュリティモデルです。従来は「社内ネットワークは安全、社外は危険」という境界型の考え方が主流でしたが、テレワークの普及により、この境界が曖昧になりました。

ゼロトラストでは、社内外を問わず、すべてのアクセスを検証し、常に最小限の権限のみを付与します。「信頼するが検証する」から「決して信頼せず、常に検証する」への転換です。2026年以降、このモデルの導入がさらに加速すると見られています。

IoT製品のセキュリティラベリング制度

IoT(モノのインターネット)製品に対するセキュリティラベリング制度(JC-STAR)の運用も本格化しています。家電製品やスマートデバイスなど、インターネットに接続される機器のセキュリティレベルを示すラベルを付ける制度です。

これにより、消費者はセキュリティ対策がしっかりしている製品を選びやすくなり、メーカー側もセキュリティを重視した製品開発を行うインセンティブが生まれます。


なぜ今、技術的セキュリティ対策が重要なのか

墨蘭/情報セキュリティマネジメント副専門官

技術的セキュリティ対策の重要性は、年々高まっています。その理由をいくつか挙げてみましょう。

第一に、サイバー攻撃の被害が深刻化していることです。ランサムウェア攻撃による被害件数は増加の一途をたどっており、被害を受けた企業は業務停止や多額の金銭的損失、さらには顧客からの信頼失墜といった深刻なダメージを受けます。警察庁の発表によれば、サイバー攻撃による被害件数は前年比で約30%増加しており、特に製造業や重要インフラ事業者への攻撃が目立っています。

第二に、規制や制度の強化です。経済産業省の評価制度のほか、EUのサイバーレジリエンス法など、国内外でセキュリティ対策を義務付ける動きが加速しています。適切な対策を講じていなければ、取引先から選ばれなくなったり、法的な問題に発展したりするリスクがあります。

第三に、攻撃手法の高度化です。技術は日々進歩しており、攻撃者も常に新しい手口を開発しています。一度導入したセキュリティ対策をそのまま放置していては、新しい脅威に対応できません。継続的な見直しと更新が欠かせないのです。

第四に、デジタル化の加速です。クラウドサービスの利用拡大、テレワークの定着、IoT機器の増加など、守るべき範囲は広がる一方です。それに伴い、技術的セキュリティ対策の重要性も増しています。


まとめ

この記事では、技術的セキュリティ対策について解説しました。ポイントを振り返りましょう。

技術的セキュリティ対策とは、IT技術を使って情報やシステムを守る対策のことです。ファイアウォール、ウイルス対策ソフト、暗号化、アクセス制御、多要素認証、バックアップ、脆弱性診断など、さまざまな手段があります。

2026年は、経済産業省のセキュリティ対策評価制度の開始やAI技術の進化など、セキュリティを取り巻く環境が大きく変化する年です。個人も企業も、この機会に自分たちのセキュリティ対策を見直してみてはいかがでしょうか。

技術的対策だけでなく、人的対策や物理的対策とバランスよく組み合わせることで、はじめて効果的なセキュリティ体制を構築できます。「自分には関係ない」と思わず、日頃からセキュリティ意識を持って行動することが大切です。

墨蘭/情報セキュリティマネジメント副専門官

インターネットを安全に利用し、大切な情報を守るために、技術的セキュリティ対策への理解を深めていきましょう。まずは身近なところから、パスワードの見直しや多要素認証の設定、ソフトウェアのアップデートなど、できることから始めてみてください。

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この記事を書いた人

ITTIのアバター ITTI 運営長

ITTI運営長
調べものと学ぶことが止められなくなり、現在は以下の4ブログを運営中:
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目標資格:情報処理安全確保支援士(学ぶこと多すぎて道のりは遠いですが、毎日コツコツ進めています…泣)

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