【真面目版】怖いサイバー攻撃「バージョンロールバック攻撃」の仕組みと対策法

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はじめに――アップデートが「巻き戻される」恐怖

空子/情報セキュリティマネジメント担当

スマートフォンやパソコンを使っていると、「ソフトウェアを最新版に更新してください」という通知を目にすることがあるでしょう。このアップデートには、新しい機能の追加だけでなく、セキュリティ上の欠陥(脆弱性)を修正するという非常に重要な役割があります。

ところが、せっかく最新版に更新したソフトウェアを、攻撃者が意図的に「古いバージョンに戻してしまう」サイバー攻撃が存在します。これがバージョンロールバック攻撃(Version Rollback Attack)です。

「え、それって何が怖いの?」と思うかもしれません。実はこの攻撃、非常に巧妙かつ深刻な被害をもたらす可能性があるのです。

そもそもロールバックとは?

空子/情報セキュリティマネジメント担当

「ロールバック」とは、もともとIT用語で「以前の状態に巻き戻す」ことを意味します。たとえば、パソコンのシステムを復元ポイントまで戻したり、アプリを一つ前のバージョンに戻したりする操作がこれにあたります。

本来、ロールバックは新しいバージョンに不具合があった場合の緊急対応策として使われる正当な操作です。しかし、この仕組みを悪用するのがバージョンロールバック攻撃です。

どうやって攻撃するのか?

空子/情報セキュリティマネジメント担当

バージョンロールバック攻撃の基本的な流れは、次のようなものです。

まず、あるソフトウェアの古いバージョンには、すでに発見されているセキュリティ上の欠陥(脆弱性)が存在します。開発者はその問題を修正し、新しいバージョンをリリースします。利用者が新しいバージョンに更新すれば、本来その脆弱性は解消されるはずです。

しかし攻撃者は、何らかの方法でソフトウェアを古いバージョンに巻き戻します。すると、すでに修正されたはずの脆弱性が復活し、攻撃者はその弱点を突いてシステムに侵入したり、データを盗んだりできるようになるのです。

たとえるなら、家の鍵を最新の防犯性能の高いものに交換したのに、誰かがこっそり古い壊れやすい鍵に付け替えてしまうようなものです。住人は鍵を交換したと安心しきっているのに、実際には泥棒が簡単に侵入できる状態に戻っている。これがバージョンロールバック攻撃の本質です。

具体的にどんな場面で起きるのか?

空子/情報セキュリティマネジメント担当

この攻撃が問題になるのは、主に以下のような場面です。

一つ目は、通信プロトコルの分野です。インターネット上の通信を暗号化するTLS(Transport Layer Security)というプロトコルでは、過去に「POODLE攻撃」と呼ばれるロールバック攻撃が大きな問題になりました。攻撃者がクライアントとサーバーの間に割り込み、安全な新しいバージョン(TLS 1.2など)ではなく、脆弱性のある古いバージョン(SSL 3.0)で通信させるように仕向けるのです。これにより、暗号化されていたはずの通信内容が解読されてしまう危険がありました。

二つ目は、OSやファームウェアの分野です。2024年には、Windowsのアップデートシステムを悪用して、OSのコアコンポーネントを古い脆弱なバージョンに戻すロールバック攻撃の手法が研究者によって報告されました。この攻撃が成功すると、すでにパッチが適用されたはずの脆弱性が再び悪用可能な状態になり、「完全にアップデート済み」と表示されているにもかかわらず、実際にはシステムが危険にさらされるという深刻な問題が発生します。

三つ目は、IoT機器(スマート家電など)の分野です。スマートロックや監視カメラなどのIoT機器は、ファームウェアの更新管理が甘い製品も少なくありません。攻撃者が古いファームウェアを書き込むことで、既知の脆弱性を悪用できてしまうケースがあります。

なぜ防ぐのが難しいのか?

空子/情報セキュリティマネジメント担当

この攻撃が厄介なのは、見た目には正常な動作に見えるという点です。ソフトウェアのバージョンが古くなっているだけなので、ウイルスのようにわかりやすい異常が発生しません。利用者もシステム管理者も、攻撃を受けていることに気づきにくいのです。

また、互換性の問題もあります。多くのシステムでは、古いバージョンとの互換性を維持するために、あえて古いプロトコルやソフトウェアでの動作を許容しています。この「後方互換性」の仕組みが、ロールバック攻撃の温床になっている側面があります。

どうすれば身を守れるのか?

空子/情報セキュリティマネジメント担当

一般のユーザーができる対策としては、いくつかのポイントがあります。

まず、OSやアプリのアップデートはすぐに適用することが基本です。自動更新を有効にしておけば、手間なく最新の状態を維持できます。

次に、古いバージョンのプロトコルを無効にすることも有効です。たとえば、ウェブブラウザの設定でSSL 3.0やTLS 1.0といった古い通信規格を無効にすることで、通信のロールバック攻撃を防ぐことができます。最近のブラウザでは、こうした古い規格はデフォルトで無効になっていることがほとんどです。

また、IoT機器のファームウェアも定期的に確認し、更新することが大切です。購入時のまま放置している機器がないか、一度チェックしてみることをおすすめします。

開発者やシステム管理者の立場では、ソフトウェアにバージョンの最低要件を設定し、古いバージョンへのダウングレードを技術的に禁止する仕組み(アンチロールバック機構)を組み込むことが重要です。AndroidやiOSのようなモバイルOSでは、こうした仕組みがすでに導入されています。

おわりに

バージョンロールバック攻撃は、「最新版にしたから安全」という私たちの思い込みを逆手に取る巧妙な手法です。アップデートは確かに重要ですが、そのアップデートが正しく適用され、維持されていることもまた同じくらい重要です。

空子/情報セキュリティマネジメント担当

セキュリティの世界では「攻撃者は常に最も弱い部分を狙う」と言われます。せっかく塞いだはずの穴が、知らないうちに開け直されていないか。そうした視点を持つことが、私たちのデジタルライフを守る第一歩になるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

ITTIのアバター ITTI 運営長

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調べものと学ぶことが止められなくなり、現在は以下の4ブログを運営中:
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