はじめに
空子/情報セキュリティマネジメント担当パソコンを使っていると、ときどき「VBScript」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。プログラミングに詳しくない方にとっては、「なんだか難しそう…」と感じるかもしれませんが、実はVBScriptは、もともと初心者でも扱いやすいように作られたプログラミング言語のひとつです。
この記事では、VBScriptとは何か、どんなことに使われてきたのか、そしてなぜ今「過去の技術」と言われるようになったのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。
VBScriptとは?





VBScript(ブイビースクリプト)は、正式名称を「Visual Basic Scripting Edition」といいます。1996年にマイクロソフトが開発した、Windows向けの簡易プログラミング言語(スクリプト言語)です。
「スクリプト言語」とは、比較的かんたんな命令文を書くだけで、パソコンにさまざまな作業を自動でやらせることができる仕組みのことです。たとえば、「フォルダの中にあるファイルの名前を一括で変更する」「決まった時間にメールを送る」といった作業を、人間が手でやる代わりにパソコンに任せることができます。
VBScriptは、マイクロソフトの人気プログラミング言語「Visual Basic(VB)」をベースに、より軽量でシンプルに作られました。そのため、本格的なプログラミングの知識がなくても、比較的とっつきやすい言語として親しまれてきました。
どんな場面で使われていたの?





VBScriptは、主に以下のような場面で活躍していました。
まず、Windowsの日常作業の自動化です。Windowsには「Windows Script Host(WSH)」という仕組みがあり、VBScriptを使って日々のパソコン操作を自動化できました。たとえば、毎朝パソコンを起動したら自動で特定のフォルダを開く、不要なファイルをまとめて削除する、といったことが数行のコードで実現できたのです。
次に、Internet Explorerでのウェブページ制御です。かつてマイクロソフトのブラウザ「Internet Explorer(IE)」では、VBScriptをウェブページの中に埋め込んで動かすことができました。ボタンをクリックしたらメッセージを表示する、入力フォームの内容をチェックする、といった処理に使われていました。ただし、これはIE専用の機能であり、他のブラウザ(ChromeやFirefoxなど)では動作しませんでした。
さらに、企業のシステム管理にも使われていました。企業のIT管理者にとって、VBScriptは強力なツールでした。社内の何百台ものパソコンに対して、ソフトウェアの設定を一括で変更したり、ユーザーアカウントを自動で作成したりといった管理作業を効率化するために使われていました。
そして、ExcelやWordとの連携もVBScriptの活躍した場面です。マイクロソフトのOffice製品には「VBA(Visual Basic for Applications)」というVBScriptの親戚のような言語が搭載されています。VBScriptはVBAと文法が似ているため、Officeの自動化と組み合わせて使われることもありました。
VBScriptの良かったところ



VBScriptが多くの人に使われた理由はいくつかあります。
ひとつは、英語に近い文法で読みやすいことです。たとえば「If〜Then〜End If」のように、英語の文章を読むような感覚でコードを理解できます。プログラミング初心者にとって、これは大きなメリットでした。
もうひとつは、Windowsに標準搭載されていたことです。特別なソフトをインストールしなくても、メモ帳でコードを書いて拡張子を「.vbs」にして保存するだけで、すぐに動かすことができました。この手軽さは、多くのユーザーにとって魅力的でした。
また、ちょっとした自動化に最適だったことも挙げられます。大規模なシステム開発には向いていませんでしたが、「毎日やっている面倒な作業を少しでもラクにしたい」という用途にはぴったりでした。
なぜ「過去の技術」と言われるの?





長年Windowsユーザーに親しまれてきたVBScriptですが、現在では「レガシー(過去の遺産)」とみなされるようになっています。
最大の理由は、マイクロソフト自身がVBScriptの廃止を進めていることです。2024年以降、Windowsの更新プログラムを通じてVBScriptの機能が段階的に無効化されており、将来的には完全に削除される予定です。
また、ウェブの世界では、JavaScriptが圧倒的な標準言語となりました。VBScriptがウェブページで使えたのはInternet Explorerだけでしたが、そのIE自体が2022年にサポート終了となったため、ウェブでのVBScriptの出番は完全になくなりました。
さらに、Windowsの自動化ツールとしても、より高機能な「PowerShell」が登場し、VBScriptの役割を引き継いでいます。PowerShellはVBScriptよりもはるかに多くのことができるため、現在ではPowerShellが標準的な選択肢となっています。
VBScriptの「遺産」を引き継ぐもの



VBScriptは役目を終えつつありますが、その精神は別の技術に受け継がれています。
Windowsの自動化には前述のPowerShellが使われるようになりました。また、プログラミング初心者がまず学ぶ言語としてはPythonが世界的な人気を集めています。Pythonもまた、「読みやすく、書きやすい」という点で、VBScriptが大切にしていた精神を受け継ぐ言語といえるでしょう。
Office製品の中ではVBAが引き続き使えますが、こちらもマイクロソフトは将来的にJavaScriptベースの「Office Scripts」や「Office アドイン」への移行を推奨しています。
まとめ


VBScriptは、1990年代後半から2010年代にかけて、Windowsの世界で多くの人に使われてきたスクリプト言語です。英語に近い読みやすい文法と、Windowsに標準搭載されている手軽さから、初心者からIT管理者まで幅広い層に支持されました。
しかし、技術の進歩とともにその役割は終わりを迎えつつあります。現在はPowerShellやPython、JavaScriptといった新しい技術がその役割を担っています。



もしこれからプログラミングを学びたいと思っている方は、VBScriptではなく、PythonやJavaScriptなど現在主流の言語から始めることをおすすめします。ただ、VBScriptが「パソコンの作業を自動化する」という考え方を多くの人に広めた功績は、今でも色あせることはありません。










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