はじめに ― ITパスポートってどんな試験?
イツカネ/ITパスポート副専門官ITパスポートは、社会人や学生が「ITの基礎知識を持っています」と証明できる国家試験です。エンジニアだけでなく、営業・事務・経営に関わるすべての人に役立つ内容が詰まっています。
試験は大きく3つの分野に分かれています。
- ストラテジ系(経営やビジネスの話)
- マネジメント系(プロジェクトやサービスの管理の話)
- テクノロジ系(ITの技術的な話)
この記事では、特に「情報」に関わる知識を中心に、試験で実際に問われるポイントをわかりやすく解説します。
第1章 データの単位 ― ビットとバイト



コンピュータが扱う情報の最小単位はビット(bit)です。ビットは「0」か「1」のどちらかだけを表します。電気のスイッチの「オン・オフ」と同じイメージです。
8ビットをまとめたものが1バイト(Byte)です。1バイトあれば、英数字1文字を表現できます。
データ量が大きくなると、次のような単位を使います。
| 単位 | 大きさ | 身近な目安 |
|---|---|---|
| 1KB(キロバイト) | 約1,000バイト | メール1通のテキスト程度 |
| 1MB(メガバイト) | 約100万バイト | スマホの写真1枚程度 |
| 1GB(ギガバイト) | 約10億バイト | 映画1本分(低画質)程度 |
| 1TB(テラバイト) | 約1兆バイト | 外付けHDDの容量でおなじみ |
ITパスポートでは「1GBは何MBか?」のような変換問題が出ることがあります。1KB=1,024バイト(2の10乗)という点は覚えておきましょう。
第2章 2進数と10進数 ― コンピュータの数え方





私たちは普段「10進数」(0〜9の10個の数字)を使っていますが、コンピュータの内部では「0」と「1」だけで数を表す2進数が使われています。
たとえば、10進数の「5」は2進数では「101」になります。
| 10進数 | 2進数 |
|---|---|
| 0 | 0 |
| 1 | 1 |
| 2 | 10 |
| 3 | 11 |
| 5 | 101 |
| 10 | 1010 |
また、2進数を人間が読みやすくまとめた16進数(0〜9とA〜Fの16個の記号)もよく使われます。色を「#FF5733」のように表すのも16進数です。
ITパスポートでは「10進数を2進数に変換しなさい」という問題がよく出ます。割り算を繰り返して余りを並べる方法を覚えておくと安心です。
第3章 文字コード ― 文字をどうやって「0と1」にするか



コンピュータは数字しか扱えないので、文字にも番号を振る必要があります。この「文字と番号の対応表」が文字コードです。
主な文字コードは以下の通りです。
- ASCII(アスキー):英数字や記号を7ビット(128種類)で表す。最も基本的な文字コード。
- JIS / Shift_JIS / EUC-JP:日本語を扱うために作られたコード。かつてのWebサイトやメールでよく使われていた。
- Unicode(UTF-8など):世界中のあらゆる言語の文字を統一的に扱える文字コード。現在の主流。
メールやWebサイトで「文字化け」が起きるのは、送信側と受信側で異なる文字コードを使っていることが原因です。
第4章 データの圧縮 ― ファイルを小さくする仕組み





大きなファイルをメールで送るときにZIPにした経験はありませんか? これがデータ圧縮です。
圧縮には2つの種類があります。
可逆圧縮(ロスレス圧縮)は、元のデータを完全に復元できる方式です。文書ファイルやプログラムなど、1ビットも変わってはいけないデータに使います。ZIPやPNGがこれにあたります。
非可逆圧縮(ロッシー圧縮)は、人間が気づきにくい部分を削ることで大幅にサイズを小さくする方式です。写真のJPEGや音楽のMP3が代表例です。元のデータには完全には戻せませんが、実用上は十分な品質を保てます。
試験では「JPEGは可逆か非可逆か」のような問いがよく出るので、代表的なファイル形式がどちらに属するかを覚えておきましょう。
第5章 ネットワークの基礎 ― データはどうやって届くのか
IPアドレスとドメイン名
インターネット上のすべての機器にはIPアドレスという「住所」が割り当てられています。「192.168.1.1」のような数字の羅列です。
これだけでは人間にはわかりにくいので、「google.com」のような名前(ドメイン名)を使います。ドメイン名をIPアドレスに変換する仕組みがDNS(Domain Name System)です。
通信プロトコル
コンピュータ同士が会話するためのルール(約束ごと)をプロトコルと呼びます。
- HTTP / HTTPS:Webページを表示するためのプロトコル。HTTPSは暗号化されており安全。
- TCP/IP:インターネット通信の基盤となるプロトコルの組み合わせ。
- SMTP / POP / IMAP:メールの送受信に使うプロトコル。
「URLの先頭がhttpsなら安全な通信」というのは、日常でも役立つ知識です。
LAN と WAN
- LAN(Local Area Network):オフィスや家庭内の狭い範囲のネットワーク。
- WAN(Wide Area Network):離れた拠点同士をつなぐ広い範囲のネットワーク。インターネットは世界最大のWANです。
第6章 情報セキュリティ ― 守るための知識





ITパスポートで最も重要なテーマの一つがセキュリティです。
代表的な脅威
- マルウェア:悪意のあるソフトウェアの総称。ウイルス、ワーム、トロイの木馬、ランサムウェアなどが含まれる。
- フィッシング:銀行や有名企業を装った偽メールや偽サイトで、パスワードやクレジットカード情報を盗む手口。
- ソーシャルエンジニアリング:技術ではなく人間の心理を利用して情報を盗む手法。電話で「システム部門ですがパスワードを教えてください」と言うなど。
暗号化の基本
データを第三者に読めないようにする技術が暗号化です。
- 共通鍵暗号方式:送る側と受け取る側が同じ鍵を使う。処理が速いが、鍵の受け渡しが課題。
- 公開鍵暗号方式:「公開鍵」と「秘密鍵」のペアを使う。鍵の受け渡し問題を解決できる。
オンラインショッピングの安全性は、この暗号化技術によって支えられています。
情報セキュリティの3要素(CIA)
- 機密性(Confidentiality):許可された人だけが情報にアクセスできること。
- 完全性(Integrity):情報が改ざんされていないこと。
- 可用性(Availability):必要なときに情報を使えること。
この3つは頭文字をとって「CIA」と呼ばれ、試験の頻出テーマです。
第7章 データベース ― 情報を整理して活用する



大量のデータを効率よく管理するための仕組みがデータベースです。
最も広く使われているのが関係データベース(リレーショナルデータベース)で、データを「表(テーブル)」の形で管理します。Excelの表をイメージするとわかりやすいでしょう。
データベースを操作する言語がSQLです。ITパスポートでは複雑なSQLは出ませんが、「SELECT」「WHERE」といった基本的なキーワードの意味は理解しておくと安心です。
第8章 最近よく出るキーワード



ITパスポートは時代に合わせて出題内容が更新されます。近年よく出るテーマも押さえておきましょう。
- AI(人工知能):機械学習やディープラーニングの基本的な考え方。AIが得意なこと・苦手なことの理解。
- IoT(Internet of Things):家電やセンサーなど、あらゆるモノがインターネットにつながる仕組み。
- クラウドコンピューティング:自分のPCではなく、インターネット上のサーバーでデータを保存・処理するサービス。SaaS、PaaS、IaaSの違い。
- DX(デジタルトランスフォーメーション):ITを活用してビジネスや社会を根本から変革すること。
- 情報リテラシー:情報を正しく読み取り、適切に活用する能力。フェイクニュースへの対処なども含まれる。
おわりに ― ITパスポートは「IT社会の常識」
ITパスポートの学習内容は、特定の職種に限らず、現代社会を生きるすべての人に役立つ知識です。「ビットって何?」「暗号化ってどういう仕組み?」「クラウドって結局何なの?」――こうした疑問に自信を持って答えられるようになることが、この試験の本当の価値です。



まずはこの記事の内容を土台にして、過去問を解きながら知識を定着させていきましょう。
この記事はITパスポート試験(iパス)のシラバスに基づいて構成しています。最新の出題範囲はIPA(情報処理推進機構)の公式サイトでご確認ください。



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