はじめに
幽灯子/基本情報技術者副専門官私たちが毎日使っている「数の数え方」は、実は何種類もあります。普段意識することはありませんが、スマホもパソコンも、まったく違う数え方で動いています。
この記事では、10進数・2進数・16進数の3つを、身近なたとえを使いながらやさしく解説します。
まずは「10進数」── 私たちの日常の数え方



10進数は、私たちが子どものころから使っている、もっともなじみ深い数え方です。「0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9」の10種類の数字を使い、9の次は桁が上がって「10」になります。
なぜ10種類なのか? 有力な説は「人間の指が10本だから」というものです。大昔の人々が指を折って数を数えた名残が、現代の数の仕組みにまで受け継がれているわけですね。
たとえば「253」という数は、こんなふうに分解できます。
- 百の位(10×10)が 2 つ → 200
- 十の位(10)が 5 つ → 50
- 一の位(1)が 3 つ → 3
合計して 253。当たり前のようですが、この「桁が上がるたびに10倍になる」という仕組みこそが、10進数の正体です。
次に「2進数」── コンピュータの母国語





コンピュータの世界では、使える数字は 「0」と「1」の2つだけ です。これが2進数です。
なぜ2つだけなのか? それは、コンピュータの中身が「電気のスイッチ」の集まりだからです。スイッチには「ON(1)」と「OFF(0)」の2つの状態しかありません。この超シンプルなルールの組み合わせで、写真も動画も音楽も、すべて表現しているのです。
2進数の数え方
10進数と対比すると、こうなります。
| 10進数 | 2進数 |
|---|---|
| 0 | 0 |
| 1 | 1 |
| 2 | 10 |
| 3 | 11 |
| 4 | 100 |
| 5 | 101 |
| 6 | 110 |
| 7 | 111 |
| 8 | 1000 |
| 9 | 1001 |
| 10 | 1010 |
10進数では「9」の次に桁が上がりますが、2進数では「1」の次にもう桁が上がります。だから数字がどんどん長くなるのが特徴です。
身近なたとえ:電球の列
8個の電球が横一列に並んでいるところを想像してください。それぞれの電球が「点いている(1)」か「消えている(0)」かの組み合わせで、0〜255までの256通りの数を表すことができます。これがまさに、コンピュータの中で起きていることです。
この「電球8個分」の単位を 1バイト(byte) と呼びます。「このファイルは500キロバイト」という表現を聞いたことがあるかもしれませんが、それは約50万個ぶんの「電球8個セット」でデータが表されている、ということなのです。
そして「16進数」── 2進数の便利な翻訳者



2進数はコンピュータにとっては最高の言語ですが、人間にとっては「10110110」のような長い文字列は読みにくくてしかたありません。そこで登場するのが 16進数 です。
16進数は「0〜9」に加えて「A, B, C, D, E, F」の 16種類の文字 を使います。AからFはそれぞれ10〜15を表しています。
| 10進数 | 2進数 | 16進数 |
|---|---|---|
| 0 | 0000 | 0 |
| 1 | 0001 | 1 |
| 5 | 0101 | 5 |
| 9 | 1001 | 9 |
| 10 | 1010 | A |
| 11 | 1011 | B |
| 15 | 1111 | F |
| 16 | 10000 | 10 |
| 255 | 11111111 | FF |
なぜ「16」なのか?
ポイントは、16が2の4乗(2×2×2×2)だということです。つまり、2進数の4桁ぶんを、16進数ならたった1文字で表せる のです。
たとえば、2進数の「10110110」は、4桁ずつ区切ると「1011 | 0110」。これを16進数に変換すると「B6」。たった2文字になりました。人間がパッと見て扱いやすくなりますよね。
日常で見かける16進数
実は、16進数は意外と身近なところに登場しています。
カラーコード: Webサイトやデザインツールで見かける「#FF5733」のような色指定。これは16進数で、赤(FF)・緑(57)・青(33)の強さをそれぞれ00〜FFの範囲で表しています。つまり「#FF5733」は「赤が最大、緑がやや控えめ、青は少なめ」=鮮やかなオレンジ色です。
MACアドレス: Wi-Fiルーターの設定画面などで見かける「A1:B2:C3:D4:E5:F6」のような文字列。これもネットワーク機器の「住所」を16進数で表したものです。
3つの関係をまとめると


| 特徴 | 10進数 | 2進数 | 16進数 |
|---|---|---|---|
| 使う文字 | 0〜9(10種類) | 0と1(2種類) | 0〜9, A〜F(16種類) |
| 桁が上がるタイミング | 9の次 | 1の次 | Fの次 |
| 誰が使う? | 私たち人間 | コンピュータ | 人間とコンピュータの橋渡し |
| メリット | 直感的でわかりやすい | 電子回路で実現しやすい | 2進数をコンパクトに表せる |
10進数は「人間の言葉」、2進数は「コンピュータの言葉」、そして16進数は「両者をつなぐ通訳」
そんなイメージで覚えておくと、すっきり理解できるのではないでしょうか。
おわりに
普段スマホを触っているとき、その裏側では膨大な量の「0」と「1」が猛スピードで処理されています。10進数・2進数・16進数はそれぞれ別物に見えますが、表現のしかたが違うだけで、表している「数そのもの」はまったく同じです。



次にWebサイトのカラーコードやファイルサイズの表記を見かけたら、「ああ、これは16進数だな」「バイトってことは2進数8桁ぶんか」と、少しだけ裏側が見えるようになるはずです。デジタルの世界が、ちょっとだけ身近に感じられたらうれしいです。










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