はじめに ── スマホの中で何が起きている?
幽灯子/基本情報技術者副専門官あなたが今このページを見ているスマホやパソコン。その中では、毎秒何十億回もの「はい/いいえ」の判断が行われています。この判断を行っているのが論理回路(ろんりかいろ)です。
難しそうに聞こえますが、実はその仕組みはとてもシンプル。この記事では、知識ゼロの方でもわかるように、論理回路の世界をご案内します。
そもそも「論理回路」って何?





論理回路とは、電気の「ON(オン)」と「OFF(オフ)」を使って計算や判断をする仕組みのことです。
コンピュータの世界では、すべての情報を「0」と「1」の2種類の数字で表します。
| 状態 | 意味 |
|---|---|
| 0 | 電気が流れていない(OFF) |
| 1 | 電気が流れている(ON) |
この「0」と「1」だけで文字も画像も音楽も表現できるのがコンピュータのすごいところ。そして、その「0」と「1」を組み合わせて計算するのが論理回路の役割です。
基本の3つのゲート ── これだけ覚えればOK!



論理回路には「ゲート(門)」と呼ばれるパーツがあります。まずは基本の3つを、日常生活のたとえで見てみましょう。
1. AND(アンド)ゲート ── 「両方そろって初めてOK」
たとえ話: 金庫を開けるのに「鍵A」と「鍵B」の両方が必要な場合。
- 鍵Aだけ → 開かない
- 鍵Bだけ → 開かない
- 鍵A + 鍵B → 開く!
| 入力A | 入力B | 出力 |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 1 |
つまり、両方が「1」のときだけ「1」を出すのがANDゲートです。
2. OR(オア)ゲート ── 「どちらか一つでもあればOK」
たとえ話: 部屋に入るのに「カードキー」か「暗証番号」のどちらかがあればいい場合。
- カードキーだけ → 入れる
- 暗証番号だけ → 入れる
- 両方ある → もちろん入れる
| 入力A | 入力B | 出力 |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 1 |
どちらか一つでも「1」なら「1」を出すのがORゲートです。
3. NOT(ノット)ゲート ── 「ひっくり返す」
たとえ話: スイッチを押すと電気が消え、離すと電気がつく”逆スイッチ”。
| 入力 | 出力 |
|---|---|
| 0 | 1 |
| 1 | 0 |
入力を真逆にする、それだけのシンプルなゲートです。
応用編 ── 組み合わせて生まれるゲートたち



基本の3つを組み合わせると、さらに便利なゲートが作れます。
NAND(ナンド)ゲート ── ANDの逆
ANDの結果をNOTでひっくり返したもの。「両方1のときだけ0」になります。実は、NANDゲートだけですべての論理回路を作れるため、「万能ゲート」と呼ばれています。
XOR(エックスオア)ゲート ── 「どちらか片方だけのときOK」
たとえ話: 2人でじゃんけんをして、出した手が”違う”ときだけポイントがもらえるルール。
| 入力A | 入力B | 出力 |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 0 |
「同じなら0、違えば1」。足し算の基本を作るときに大活躍するゲートです。
論理回路で「足し算」ができる!



「0と1だけでどうやって計算するの?」と思いますよね。実は、上のゲートを組み合わせるだけで足し算ができます。
例えば「1 + 1」を2進数で考えると:
1
+ 1
----
10 (10進数の「2」)
この計算をXORゲート(各桁の答え)とANDゲート(繰り上がり)の組み合わせで実現できます。これを半加算器(はんかさんき)と呼びます。
半加算器をさらに組み合わせて全加算器を作り、それを何個もつなげれば、大きな数の足し算もできるようになります。引き算・掛け算・割り算も、突き詰めれば足し算の応用。こうして、コンピュータはあらゆる計算をこなしているのです。
身の回りにある論理回路





論理回路はコンピュータの中だけにあるわけではありません
自動ドア ── 「人がいる(センサーA = 1)」AND「ロックされていない(センサーB = 1)」→ ドアが開く。まさにANDゲートの考え方です。
火災報知器 ── 「煙センサーが反応(A = 1)」OR「熱センサーが反応(B = 1)」→ アラームが鳴る。これはORゲートですね。
冷蔵庫のランプ ── 「ドアが閉まっている(入力 = 1)」→ ランプ消灯(出力 = 0)。NOTゲートの動きです。
こうして見ると、論理回路の考え方は日常のあちこちに隠れていることがわかります。
まとめ
論理回路は、たった「0」と「1」の2つの信号から、驚くほど複雑な処理を生み出す仕組みです。
覚えておきたいポイントはたった3つ。AND(両方でOK)、OR(どちらかでOK)、NOT(逆にする)。この3つの組み合わせが、スマホもパソコンもインターネットも支えています。



次にスマホを触るとき、その指先の下で何十億個ものゲートが「0」と「1」を猛スピードで切り替えていることを想像してみてください。ちょっとだけ、テクノロジーが身近に感じられるはずです。










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