はじめに:プロジェクトマネジメントって何?
幽灯子/基本情報技術者副専門官「プロジェクトマネジメント」という言葉を聞くと、なんだか難しそうに感じますよね。でも、実はとても身近な概念です。
たとえば、文化祭の準備を想像してみてください。いつまでに何を準備するか、誰が何を担当するか、予算はいくらか……これを計画・管理することが、まさに「プロジェクトマネジメント」です。
基本情報技術者試験では、このプロジェクトマネジメントに関する問題が毎回出題されます。この記事では、試験に出るポイントをわかりやすく解説します!
そもそも「プロジェクト」とは?



まず基本から押さえましょう。試験では「プロジェクト」の定義が問われることがあります。
プロジェクトとは、「特定の目標を達成するために、期間・予算・資源(人・物)が定められた、一時的な活動」のこと。
ポイントは3つです。
- 一時的:始まりと終わりがある(永遠に続かない)
- 独自性:毎回同じではなく、ユニークな成果物を生み出す
- 目標がある:達成すべき明確なゴールがある
日常業務(毎日同じ作業を繰り返す)はプロジェクトではありません。「新しいシステムを半年で作る」といった取り組みがプロジェクトです。
プロジェクトマネジメントの「三大制約」



プロジェクトを管理するうえで、常に意識しなければならない3つの制約があります。これを三大制約(スコープ・コスト・タイム)と呼び、日本の実務ではQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)のトレードオフとして表現されることもあります。
① スコープ(Scope):何をやるか
プロジェクトの範囲・内容のことです。「どこまで作るか」「何を含めるか」を明確にします。スコープが曖昧だと、後から「あれも作って」「これも対応して」と際限なく要求が増えてしまいます(スコープクリープと言います)。
② コスト(Cost):いくらでやるか
使える予算のことです。人件費・設備費・外注費などが含まれます。
③ タイム(Time):いつまでにやるか
締め切り・納期のことです。「6ヶ月以内に完成させる」といった時間的な制約です。
この3つはトレードオフの関係にあります。たとえば「もっと早く(タイム)完成させたい」なら、「人を増やす(コストが上がる)」か「機能を減らす(スコープが減る)」しかありません。試験でもこの考え方はよく出ます。
WBS(作業分解構成図)を理解しよう



試験頻出!WBSはプロジェクトの作業を細かく分解して整理したものです。
WBSのイメージ
【Webサイト制作プロジェクト】
├── 企画
│ ├── 要件定義
│ └── スケジュール作成
├── デザイン
│ ├── トップページデザイン
│ └── 各ページデザイン
├── 開発
│ ├── フロントエンド開発
│ └── バックエンド開発
└── テスト・リリース
├── 動作確認
└── 本番公開
WBSを作ることで、「やるべき作業の漏れがなくなる」「担当者が明確になる」「スケジュールが立てやすくなる」というメリットがあります。
ガントチャートとアローダイアグラム



スケジュール管理の手法として、2つのツールが試験に出ます。
ガントチャート
横軸に時間、縦軸に作業を並べた棒グラフのようなものです。どの作業がいつ行われるかが一目でわかります。進捗の確認にも使われます。
| 作業 | 1週目 | 2週目 | 3週目 | 4週目 |
|---|---|---|---|---|
| 要件定義 | ████ | ████ | ||
| デザイン | ████ | ████ | ||
| 開発 | ████ | ████ | ||
| テスト | ████ |
アローダイアグラム(PERT図)
作業の「順序関係」と「依存関係」を矢印で表した図です。どの作業が終わらないと次に進めないかがわかります。
ここで重要なのがクリティカルパスという概念です。
クリティカルパスとは、プロジェクト全体の完了時間を決める、最も時間がかかる経路のこと。
クリティカルパス上の作業が遅れると、プロジェクト全体が遅れます。逆に、クリティカルパス上にない作業には「余裕時間(フロート)」があります。試験では「クリティカルパスを求めよ」という計算問題がよく出ます。
クリティカルパスの計算例
以下の作業があるとします。
| 作業 | 所要日数 | 前提作業 |
|---|---|---|
| A | 3日 | なし |
| B | 5日 | なし |
| C | 4日 | A完了後 |
| D | 2日 | B完了後 |
| E | 3日 | C・D完了後 |
経路を考えると
- A → C → E:3 + 4 + 3 = 10日
- B → D → E:5 + 2 + 3 = 10日
どちらも10日。この場合、両方がクリティカルパスになります。プロジェクト全体は最低10日かかります。
リスクマネジメント



プロジェクトでは予期しないトラブルが起きることがあります。それに備えるのがリスクマネジメントです。
リスクへの対応策は大きく4つあります。
① 回避:リスクの原因そのものをなくす。(例:危険な技術の採用をやめる)
② 軽減(低減):リスクが発生する確率や影響を小さくする。(例:テストを念入りに行う)
③ 転嫁:リスクを第三者に移す。(例:保険をかける・外部委託する)
④ 受容:リスクを受け入れて、発生したときに対処する。(例:予備費を積み立てておく)
試験では「この状況に適切なリスク対応策はどれか」という形式で出ることが多いです。
EVMで進捗を数値で管理する



EVMは、プロジェクトの進捗とコストを数値で管理する手法です。難しそうに見えますが、3つの数値を覚えれば大丈夫です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| PV(計画価値) | 計画上、今時点で完了しているはずの作業の予算額 |
| EV(出来高) | 実際に完了した作業の予算額 |
| AC(実コスト) | 実際にかかったコスト |
ここから2つの指標を計算します。
- SV(スケジュール差異)= EV − PV → マイナスなら遅延
- CV(コスト差異)= EV − AC → マイナスならコスト超過
例えば「SV = −20万円」なら、計画より20万円分の作業が遅れているということです。
まとめ:試験に出るキーワード一覧



最後に、試験でよく見るキーワードを整理しておきましょう。
| キーワード | 意味 |
|---|---|
| WBS | 作業を階層的に分解した構成図 |
| ガントチャート | 時間軸で作業スケジュールを表した図 |
| アローダイアグラム | 作業の依存関係を矢印で表した図 |
| クリティカルパス | プロジェクト全体の期間を決める最長経路 |
| フロート | クリティカルパス上にない作業の余裕時間 |
| リスク回避・軽減・転嫁・受容 | リスクへの4つの対応策 |
| EVM | 進捗とコストを数値で管理する手法 |
| スコープクリープ | 計画外の作業が次々と追加される現象 |
おわりに
プロジェクトマネジメントは、IT業界に限らず、あらゆるビジネスで使われる考え方です。基本情報技術者試験では、暗記だけでなく「計算問題」も出るので、クリティカルパスやEVMの計算は実際に手を動かして練習しましょう。



この記事の内容をしっかり理解できれば、試験のプロジェクトマネジメント分野は十分に得点源にできます。ぜひ繰り返し読んで、知識を定着させてね!














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