はじめに
墨蘭/情報セキュリティマネジメント副専門官デジタル化が急速に進む現代社会において、情報セキュリティの重要性はますます高まっています。企業や個人が日々取り扱う膨大なデータは、さまざまなリスクにさらされています。



本記事では、情報セキュリティにおけるリスクの種類について、2026年の最新動向を踏まえながら、わかりやすく解説します。
情報セキュリティリスクとは





情報セキュリティリスクとは、企業や個人が保有する重要なデータや情報システムが脅かされる可能性のことを指します。このリスクは主に「脅威」と「脆弱性」という2つの要素から構成されています。
脅威とは、情報資産に損害を与える可能性のある要因のことです。
一方、脆弱性とは、システムや管理体制に存在する弱点や欠陥を意味します。これら2つの要素が重なり合うことで、実際のセキュリティインシデントが発生するのです。
脅威の種類
1. 意図的脅威
意図的脅威とは、悪意を持った攻撃者が意図的に引き起こす脅威です。2026年現在、最も深刻な問題となっているのがランサムウェア攻撃です。これは、コンピュータやデータに制限をかけ、解除と引き換えに身代金を要求する攻撃手法です。IPA(情報処理推進機構)が発表した「情報セキュリティ10大脅威2025」でも、ランサムウェアは引き続きトップの脅威として位置づけられています。
また、サプライチェーン攻撃も深刻化しています。これは、大企業へつながる突破口として、セキュリティ対策が手薄な中小企業を狙う攻撃です。さらに、標的型攻撃やマルウェア感染、不正アクセス、情報の改ざん、なりすましなども意図的脅威に含まれます。
2026年の新たな脅威として、AI技術を悪用したサイバー攻撃が急増しています。AIを活用したバイブコーディング(AIにプロンプトを送信してプログラムを生成する手法)を悪用したマルウェア「LAMEHUG」などが確認されており、攻撃の自動化と高度化が進んでいます。
2. 偶発的脅威
偶発的脅威とは、意図せずに発生する脅威のことです。従業員のミスによる情報漏洩、操作ミス、設定ミスなどが該当します。例えば、メールの誤送信、機密情報の社外持ち出し、うっかりフィッシングメールのリンクをクリックしてしまうことなどが挙げられます。
2026年においては、クラウド環境の設定ミスによるデータ露出も増加しています。クラウドサービスの利用拡大に伴い、適切な設定を怠ることで、機密データが意図せず公開されてしまうリスクが高まっています。
3. 環境的脅威
環境的脅威とは、自然災害や環境的要因による脅威です。地震、台風、落雷、火災、洪水などの自然災害により、サーバーやデータセンターが被害を受け、重要なデータが消失したり、システムが停止したりするリスクがあります。また、停電や高温・高湿度といった異常気象も、情報システムに悪影響を及ぼす可能性があります。
脆弱性の種類


1. ソフトウェアやシステムの脆弱性
OSやソフトウェア、システムに存在するセキュリティ上の欠陥のことです。攻撃者はこれらの脆弱性を悪用してシステムに侵入しようとします。特にゼロデイ攻撃(脆弱性が公開される前を狙った攻撃)は、修正パッチが提供される前に攻撃されるため、非常に危険です。
2. 管理体制の不備
機密データの管理体制が不十分な場合、情報漏洩のリスクが高まります。例えば、サーバールームの施錠管理が甘い、機密情報へのアクセス権限が適切に設定されていない、退職者のアカウントが削除されていないなどが該当します。また、従業員のセキュリティ意識の低さも重大な脆弱性となります。
3. 物理的な脆弱性
災害に弱い立地にオフィスやデータセンターがある場合、環境的脅威の影響を受けやすくなります。また、部外者が自由に出入りできるオフィス環境や、物理的なセキュリティ対策が不十分な場合も、情報の盗難や破壊のリスクが高まります。
2026年注目の新たなリスク


1. AIエージェントのリスク
2026年には、自律的に判断・行動するAIエージェントの普及が進んでいます。これらは業務効率化に貢献する一方で、新たなセキュリティリスクも生み出しています。AIエージェントの誤った判断やハルシネーション(幻覚:AIが事実でない情報を生成すること)が、連鎖的に企業全体のシステムに影響を及ぼす可能性があります。
2. マシンアイデンティティの増加
自動化とAIの普及により、人間ではなく機械やシステムのアイデンティティ(認証情報)が急増しています。これらの管理が不十分な場合、忘れられた認証情報や過剰な権限が恒久的なバックドアとして機能し、攻撃者に悪用される危険性があります。
3. 地政学的リスク
国際情勢の緊張に伴い、国家支援型ハッカー集団による攻撃が増加しています。重要インフラへの攻撃や情報窃取、偽情報の流布など、地政学的リスクに起因するサイバー攻撃は、企業活動に大きな影響を与える可能性があります。
まとめ



情報セキュリティリスクは、意図的脅威、偶発的脅威、環境的脅威という3つの脅威と、ソフトウェアの脆弱性、管理体制の不備、物理的脆弱性という3つの脆弱性から構成されています。2026年現在、AI技術の悪用やマシンアイデンティティの管理、地政学的リスクなど、新たな脅威も出現しています。
企業や個人は、これらのリスクを正しく理解し、包括的なセキュリティ対策を実施することが求められています。具体的には、セキュリティソフトの導入、定期的なシステムアップデート、従業員教育の徹底、アクセス権限の適切な管理、バックアップの実施などが重要です。情報セキュリティは、技術的な対策だけでなく、組織全体で取り組むべき課題であることを認識し、継続的な改善を行っていくことが大切です。










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