【真面目版】ポリモーフィックウイルスとは?姿を変える仕組みと対策を初心者向けに解説

目次

はじめに ― ウイルス対策ソフトをすり抜ける厄介な存在

空子/情報セキュリティマネジメント担当

パソコンやスマートフォンを使っていれば、「コンピュータウイルス」という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。ウイルス対策ソフトを入れておけば安心、と思っている方も多いかもしれません。しかし、世の中にはウイルス対策ソフトの目をかいくぐるために、自分自身の「姿」を次々と変えてしまう、非常に巧妙なウイルスが存在します。それがポリモーフィック型ウイルスです。

この記事では、専門的な知識がなくても理解できるように、ポリモーフィック型ウイルスの仕組みや危険性、そして身を守るための対策についてわかりやすく解説します。


そもそもコンピュータウイルスはどうやって検出されるの?

空子/情報セキュリティマネジメント担当

ポリモーフィック型ウイルスを理解するために、まずウイルス対策ソフトの基本的な仕組みを知っておきましょう。

ウイルス対策ソフトの最も基本的な検出方法は、「シグネチャ(署名)マッチング」と呼ばれるものです。これは、人間に例えるなら「指名手配写真」のようなものです。警察が犯人の顔写真を持っていて、街中でその顔と一致する人物を探すのと同じように、ウイルス対策ソフトは既知のウイルスの「特徴的なコードのパターン」をデータベースとして持っていて、パソコンの中にそのパターンと一致するファイルがないかを調べます。

この方法は非常に有効ですが、一つ大きな弱点があります。それは、犯人が顔を変えてしまったら見つけられないということです。ポリモーフィック型ウイルスは、まさにこの弱点を突いてくるのです。


ポリモーフィック型ウイルスの仕組み ― 「変装の達人」

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「ポリモーフィック(polymorphic)」とは、ギリシャ語で「多くの形を持つ」という意味です。その名の通り、ポリモーフィック型ウイルスは自分自身のコード(プログラムの中身)を複製するたびに書き換えて、見た目を変えてしまうという特徴を持っています。

もう少し具体的に説明しましょう。ポリモーフィック型ウイルスは、大きく分けて2つの部分で構成されています。

1つ目は「本体」です。これはウイルスとしての悪意ある動作(データの破壊、情報の盗み出しなど)を実行する部分で、暗号化されて隠されています。

2つ目は「復号ルーチン」です。暗号化された本体を元に戻して実行するための「鍵」のような役割を果たす小さなプログラムです。

ウイルスが他のファイルやコンピュータに感染を広げるとき、この復号ルーチンの部分を毎回異なるパターンで書き換えます。やっていることは同じなのに、見た目のコードがまったく違うものになるのです。

身近なたとえで言えば、「りんごを買ってきて」という指示を、あるときは「赤い果物を1つ入手して」、またあるときは「apple を purchase して」と、毎回違う言い回しで表現するようなものです。意味は同じですが、文字面だけを見ると別の文章に見えます。ウイルス対策ソフトが「りんごを買ってきて」というパターンだけを手配書に載せていても、他の言い回しでは引っかからないわけです。


どれくらい危険なの?

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ポリモーフィック型ウイルスの危険性は、その検出の難しさにあります。

従来型のウイルスであれば、一度ウイルス対策ソフトのデータベースに登録されてしまえば、それ以降は確実に検出できます。しかしポリモーフィック型ウイルスは、感染するたびにコードが変わるため、単純なパターンマッチングでは捕まえることが極めて困難です。

その結果、感染に気づかないままパソコンを使い続けてしまい、個人情報の流出や金銭的な被害、さらには自分のパソコンが他の人への攻撃の踏み台にされるといった深刻な事態に発展する恐れがあります。

また、ポリモーフィック型の技術はウイルスだけでなく、ランサムウェア(身代金要求型のマルウェア)やトロイの木馬など、さまざまな種類の悪意あるプログラムにも応用されています。つまり、この「変装技術」は、サイバー犯罪者にとって非常に便利な道具となっているのです。


歴史を振り返る ― 意外と古い技術

空子/情報セキュリティマネジメント担当

ポリモーフィック型ウイルスは、実は新しいものではありません。最初に注目を集めたのは1990年代初頭のことです。「1260」(別名 V2PX)や「Dark Avenger Mutation Engine」といったウイルスやツールが登場し、当時のセキュリティ業界に大きな衝撃を与えました。

それから30年以上が経った現在でも、ポリモーフィック技術は進化を続けており、より高度な暗号化や難読化の手法と組み合わせることで、依然として大きな脅威であり続けています。


私たちにできる対策

空子/情報セキュリティマネジメント担当

では、こうした巧妙なウイルスから身を守るために、私たちは何をすればよいのでしょうか。

ウイルス対策ソフトを最新の状態に保つことが第一歩です。 現在のウイルス対策ソフトは、単純なパターンマッチングだけではなく、「ヒューリスティック分析」や「ビヘイビア分析(振る舞い検知)」といった高度な技術を備えています。これらは、ウイルスの「見た目」ではなく「行動パターン」を監視することで、たとえコードが変わっていても不審な動きを検出できる仕組みです。ウイルス対策ソフトを常に最新版にアップデートしておくことで、こうした新しい検出技術の恩恵を受けることができます。

OSやアプリケーションのアップデートも欠かさず行いましょう。 ウイルスはソフトウェアの脆弱性(セキュリティ上の弱点)を突いて侵入してくることが多いため、アップデートによって弱点をふさぐことが重要です。

不審なメールの添付ファイルやリンクを安易に開かないことも大切です。 ウイルスの多くは、メールやWebサイトを経由して広がります。知らない送信元からのメールや、心当たりのない添付ファイルには十分に注意してください。

定期的にデータのバックアップを取っておくことも有効な対策です。 万が一感染してしまった場合でも、バックアップがあれば被害を最小限に抑えることができます。


おわりに

ポリモーフィック型ウイルスは、自らの姿を変え続けることで検出を逃れる、非常に巧妙なコンピュータウイルスです。その存在は、サイバーセキュリティの世界が「攻撃者と防御者のいたちごっこ」であることを象徴しています。

しかし、過度に恐れる必要はありません。基本的なセキュリティ対策をしっかりと行うだけで、多くのリスクを回避することができます。大切なのは、「自分は大丈夫」と油断せず、日頃からセキュリティ意識を持ち続けることです。

空子/情報セキュリティマネジメント担当

デジタル社会を安全に楽しむために、今日からできることを一つずつ始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

ITTIのアバター ITTI 運営長

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調べものと学ぶことが止められなくなり、現在は以下の4ブログを運営中:
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