はじめに:なぜ性能指標を学ぶの?

幽灯子/基本情報技術者副専門官パソコンやスマホを買うとき、「このスペックで大丈夫かな?」と悩んだことはありませんか? システムの性能指標とは、まさにコンピュータの “通知表” のようなもの。どれくらい速いか、どれくらい頑張れるかを数字で表す仕組みです。
基本情報技術者試験では、この「性能の測り方」がよく出題されます。この記事では、身近なたとえを使いながら、主要な性能指標をひとつずつ解説していきます。
1. スループット(Throughput)



一言でいうと、一定時間にどれだけの仕事を片づけられるか
身近なたとえ: レジの処理能力を想像してください。「1時間に何人のお客さんを会計できるか」がスループットです。レジが速ければ速いほど、スループットは高くなります。
ポイント: スループットは「単位時間あたりの処理量」を表します。ネットワークなら「1秒間に送れるデータ量(bps)」、サーバーなら「1秒間に処理できるリクエスト数」といった形で使われます。数値が大きいほど、システムの処理能力が高いことを意味します。
2. レスポンスタイム(応答時間)



一言でいうと、お願いしてから結果が返ってくるまでの時間
身近なたとえ: レストランで料理を注文してから、テーブルに届くまでの時間です。注文した瞬間からカウント開始、お皿が目の前に届いた瞬間がカウント終了です。
ポイント: レスポンスタイムは、ユーザーがコンピュータに処理を依頼してから、その結果がすべて返ってくるまでの時間です。ウェブサイトのボタンをクリックして、画面が完全に表示されるまでの時間をイメージすると分かりやすいでしょう。短いほど「サクサク動く」と感じます。
3. ターンアラウンドタイム(TAT)



一言でいうと、仕事を頼んでから、すべて完了するまでの総時間
身近なたとえ: クリーニング店に服を出して、受け取りに行って持ち帰るまでの全体の時間です。「預ける → 洗ってもらう → 受け取る」の全工程が含まれます。
ポイント: レスポンスタイムとの違いが試験でよく問われます。ターンアラウンドタイムはレスポンスタイムよりも広い範囲を含み、「入力データの準備 → 処理の待ち時間 → 実際の処理 → 出力の受け取り」までのすべてをカバーします。
整理すると: ターンアラウンドタイム = 入力時間 + 待ち時間 + 処理時間 + 出力時間
4. MIPS(ミップス)



一言でいうと、CPUが1秒間に何百万回の命令を実行できるか
身近なたとえ: 工場のベルトコンベアを想像してみてください。「1秒間に100万個の部品を組み立てられる工場」は「1 MIPS」です。MIPSの数字が大きいほど、CPUの計算スピードが速いということになります。
ポイント: MIPSは「Million Instructions Per Second」の略です。たとえば「100 MIPS」のCPUは、1秒間に1億回の命令を実行できます。試験では「命令の実行時間からMIPSを求める」計算問題が頻出です。
計算の公式: MIPS = 1 ÷(1命令の平均実行時間(秒)× 10⁶)
例題: 1命令の平均実行時間が 20ナノ秒(20 × 10⁻⁹秒)のCPUのMIPS値は? → 1 ÷(20 × 10⁻⁹ × 10⁶)= 1 ÷ 0.02 = 50 MIPS
5. FLOPS(フロップス)



一言でいうと、1秒間に何回の小数点計算(浮動小数点演算)ができるか
身近なたとえ: MIPSが「一般的な作業の速さ」だとしたら、FLOPSは「数学の計算テストの速さ」に特化した指標です。科学計算やAIの世界では、こちらがよく使われます。
ポイント: スーパーコンピュータの性能比較でよく登場します。日本の「富岳」の性能が「〇〇ペタFLOPS(PFLOPS)」と紹介されるのを聞いたことがあるかもしれません。1ペタFLOPS = 1秒間に1,000兆回の浮動小数点演算ができるという意味です。
6. 稼働率(可用性 / Availability)



一言でいうと、システムが正常に動いている時間の割合
身近なたとえ: 24時間営業のコンビニが、1年のうち何時間ちゃんと営業しているかの割合です。「年間8,760時間のうち8,700時間営業していたら、稼働率は約99.3%」となります。
計算の公式: 稼働率 = 稼働時間 ÷(稼働時間 + 故障による停止時間)
ポイント: 稼働率は「何個9が並ぶか」で表現されることもあります。
| 表現 | 稼働率 | 年間の停止時間(目安) |
|---|---|---|
| ツーナイン | 99% | 約3.7日 |
| スリーナイン | 99.9% | 約8.8時間 |
| フォーナイン | 99.99% | 約53分 |
| ファイブナイン | 99.999% | 約5分 |
銀行やクラウドサービスでは「ファイブナイン」が理想とされます。
7. MTBF(平均故障間隔)



一言でいうと、故障してから次に故障するまでの平均時間
身近なたとえ: あなたの車が最初の故障から次の故障まで平均で2年もつなら、MTBFは「2年」です。この数字が大きいほど、壊れにくい=信頼性が高いシステムということになります。
ポイント: MTBFは「Mean Time Between Failures」の略です。値が大きいほど「長持ちする、壊れにくい」ことを示します。
8. MTTR(平均修復時間)



一言でいうと、壊れてから直るまでの平均時間
身近なたとえ: 車が故障して修理工場に入り、修理が完了するまでの平均時間です。この数字が小さいほど「すぐ直せる=保守性が高い」システムです。
ポイント: MTTRは「Mean Time To Repair」の略です。稼働率との関係式もセットで覚えましょう。
3つの関係: 稼働率 = MTBF ÷(MTBF + MTTR)
例題: MTBF = 900時間、MTTR = 100時間のとき、稼働率は? → 900 ÷(900 + 100)= 900 ÷ 1000 = 0.9(90%)
9. ベンチマーク



一言でいうと、共通のテストでシステム同士の実力を比べる方法
身近なたとえ: 学校の全国模試のようなものです。同じテストを受けるから、学校同士の実力を公平に比較できますよね。コンピュータの世界にも「共通テスト」があり、それがベンチマークです。
代表的なベンチマーク:
| 名称 | 何を測るか |
|---|---|
| SPECint | CPU の整数演算性能 |
| SPECfp | CPU の浮動小数点演算性能 |
| TPC-C | データベースのトランザクション処理性能 |
まとめ:試験に出やすいポイント早見表


| 指標 | 意味 | 覚え方のコツ |
|---|---|---|
| スループット | 単位時間あたりの処理量 | レジの処理人数 |
| レスポンスタイム | 要求→結果返却までの時間 | 料理の待ち時間 |
| ターンアラウンドタイム | 依頼→完了までの全時間 | クリーニングの預け~受け取り |
| MIPS | 1秒あたりの命令実行数(百万単位) | 工場のベルトコンベア |
| FLOPS | 1秒あたりの浮動小数点演算数 | 数学テスト専門の速さ |
| 稼働率 | 正常稼働の割合 | コンビニの営業率 |
| MTBF | 故障間の平均時間 | 車が壊れるまでの期間 |
| MTTR | 修復の平均時間 | 修理にかかる日数 |
試験対策のヒント
試験では「計算問題」として出題されることが多いです。特に以下の3パターンは必ず押さえておきましょう。
- MIPSの計算: 命令実行時間からMIPSを求める
- 稼働率の計算: MTBFとMTTRから稼働率を求める
- 直列・並列システムの稼働率: 複数の装置を組み合わせたときの全体の稼働率を求める
直列システムの稼働率 = 各装置の稼働率をすべて掛け算 並列システムの稼働率 = 1 −(1 − 各装置の稼働率)をすべて掛け算



暗記だけでなく、実際に計算を手で解いてみることが合格への近道です。頑張ってください!














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