はじめに
幽灯子/基本情報技術者副専門官「基本情報技術者試験」を受験しようとしたとき、「OR」や「IE」という言葉を見て「何それ?」と思った方も多いのではないでしょうか。難しそうな用語が並んでいますが、実はこれらは私たちの日常生活にも深く関わっている考え方です。
この記事では、IT初心者や文系の方にもわかりやすいように、OR(オペレーションズ・リサーチ)とIE(インダストリアル・エンジニアリング)について丁寧に解説していきます。
OR(オペレーションズ・リサーチ)とは?


そもそもORってどんな意味?
OR(Operations Research / オペレーションズ・リサーチ) とは、日本語で「作戦研究」や「経営科学」とも呼ばれ、数学や統計学を使って「最も良い意思決定を行う」ための手法です。
もともとは第二次世界大戦中にイギリス軍が、限られた資源(兵力・物資・時間)を使って最大の効果を得るための研究として始まりました。現在では企業の経営判断や物流の最適化、スケジュール管理など、あらゆるビジネスシーンで活用されています。
身近な例で理解するOR
たとえば、コンビニのオーナーが「何個のおにぎりを仕入れれば利益が最大になるか?」を考えるとします。多すぎると廃棄ロスが出るし、少なすぎると売り切れで機会損失になります。こんなとき、過去の販売データや費用をもとに「最適な仕入れ数」を数学的に算出するのがORの考え方です。
ORの主な手法(試験に出るポイント)
① 線形計画法(LP:Linear Programming)
制約条件(リソースの限界など)のもとで、目的(利益の最大化やコストの最小化)を達成する手法です。
例: 工場でA製品とB製品を作る。材料と時間の制約の中で、最大の利益を得る生産数を求める。
グラフを使って「実行可能領域」を描き、最適解を求める「グラフ解法」が基本情報技術者試験でもよく出題されます。
② PERT(パート)・アローダイアグラム
プロジェクトの作業を矢印(アロー)で表し、全体のスケジュールを管理する手法です。
- クリティカルパス:プロジェクト完了までに最も時間がかかる経路のことです。ここに余裕はなく、この経路が遅れると全体が遅れます。
- 余裕時間(フロート):他の作業に影響を与えずに遅らせることのできる時間のことです。
試験のポイント: アローダイアグラムを見て「最短完了日数」と「クリティカルパス」を求める問題がよく出ます。落ち着いて各経路の日数を足し算していけば解けます!
③ 待ち行列理論(キューイング理論)
銀行の窓口やコールセンターで「お客さんが何人並ぶか」「平均待ち時間はどのくらいか」を計算するための理論です。
窓口の数や処理速度を変えることで、顧客満足度とコストのバランスをとることができます。
④ ゲーム理論
複数の人や組織が戦略的に行動するとき、それぞれの最善の行動を分析する理論です。競合他社との価格戦略や交渉などに応用されます。
IE(インダストリアル・エンジニアリング)とは?
IEとは何か?
IE(Industrial Engineering / 生産工学・経営工学) とは、「人・機械・材料・情報・エネルギー」などの資源を最も効率よく使うための工学です。
製造業での作業効率化がルーツですが、現在はオフィス業務やサービス業にまで広く応用されています。「ムダ・ムラ・ムリ」をなくして生産性を上げることがIEの本質です。
IEの主な手法
① 工程分析
作業の流れを「加工・運搬・検査・貯蔵・停滞」の5つの記号で分類し、ムダな工程を見つけ出す方法です。工場のラインだけでなく、オフィスの業務フローにも使えます。
② 動作研究(モーション・スタディ)
作業者の手や体の動きを細かく分析して、最も効率の良い動作の順序や方法を見つける研究です。「サーブリッグ」と呼ばれる18種類の基本動作記号を使って分析します。
③ 時間研究(タイム・スタディ)
ストップウォッチを使って作業時間を計測し、「標準時間」を設定する手法です。標準時間があることで、作業計画の立て方や工賃の計算が正確にできるようになります。
標準時間の計算式:
標準時間 = 正味時間 × (1 + 余裕率)
- 正味時間(基本時間):実際の作業に必要な時間
- 余裕率:疲労・休憩・段取りなどの余裕を加味した割合
④ ライン・バランシング
ベルトコンベア式の生産ラインで、各作業ステーションの作業時間が均等になるよう割り振る方法です。ある工程だけ遅いと全体が詰まってしまう「ボトルネック」をなくすことが目的です。
ORとIEの違いをまとめると?


| 項目 | OR(オペレーションズ・リサーチ) | IE(インダストリアル・エンジニアリング) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 意思決定の最適化 | 生産・業務プロセスの効率化 |
| 対象 | 経営全般・ビジネス問題 | 製造・作業・業務の現場 |
| 主な手法 | 線形計画法・PERT・待ち行列 | 工程分析・動作研究・時間研究 |
| アプローチ | 数学モデルを用いた最適化 | 現場の観察と分析による改善 |
試験で頻出のポイント総まとめ



基本情報技術者試験でOR・IEに関して特に出やすいポイントをまとめます。
ORから出やすい項目:
- アローダイアグラム(最短日数・クリティカルパスの計算)
- 線形計画法のグラフ解法
- 待ち行列の基本概念
IEから出やすい項目:
- 標準時間の計算(正味時間 × (1+余裕率))
- 工程分析の5記号(加工・運搬・検査・貯蔵・停滞)
- ラインバランシングとボトルネックの概念
おわりに
OR・IEは最初は「難しそう」と感じるかもしれませんが、本質は「限られたリソースをどうやって賢く使うか」という非常に実用的な考え方です。身近なコンビニの仕入れや、工場の作業効率化にも使われているものだと思うと、少し親しみが持てるのではないでしょうか。



試験勉強では、特にアローダイアグラムと標準時間の計算は計算問題として出やすいので、実際に手を動かして練習してみてください。理解が深まれば、合格への大きな一歩になります。














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