はじめに:なぜ今、デジタルリテラシーとデジタルディバイドが重要なのか?
現代社会では、スマートフォンやパソコン、インターネットといったデジタル技術が生活や仕事の基盤となっています。しかし、誰もがその恩恵を等しく受けられているわけではありません。ここで浮かび上がるのが「デジタルリテラシー」と「デジタルディバイド」です。
この2つの概念は、単なるITスキルの話にとどまらず、教育、雇用、行政サービス、社会参加といったあらゆる分野に影響を及ぼす、極めて重要な社会課題を内包しています。
オルビナ/基本情報技術者専門官リテラシーとは本来、読み書き能力を意味しますが、情報社会においては「デジタルリテラシー」として、情報を正しく理解し、適切に活用できる能力を指します。
これに対してディバイドとは「格差」や「分断」を意味し、デジタルディバイドはデジタル技術を使いこなせる人とそうでない人との間に生じる差を表します。
デジタルリテラシーとは?
デジタルリテラシーとは、単にパソコンやスマホを操作できる能力ではありません。情報を正しく「探し」「理解し」「評価し」「活用する」、つまり情報を使って問題を解決したり、意思決定を行ったりするための総合的な能力を指します。
たとえば、SNSで流れてくる情報の真偽を見極めたり、オンラインで行政手続きを行ったり、クラウドサービスを使って仕事を効率化したりする力も、すべてデジタルリテラシーの一部です。
デジタルディバイドとは?
「デジタルディバイド(情報格差)」とは、デジタル技術へのアクセスや活用能力の違いによって生じる社会的な格差を指します。これは単にインターネットやデバイスを持っているかどうかという問題にとどまらず、より多層的な形で現れます。
第一に、アクセスの格差があります。インターネット環境やスマートフォン・PCなどのデバイスを持っているかどうかによって、情報への入り口そのものが制限される場合があります。
第二に、リテラシーの格差です。たとえデバイスを持っていても、適切に使いこなす能力がなければ十分に活用できません。情報検索の方法やセキュリティ意識、デジタルツールの操作スキルなどがここに含まれます。
第三に、活用の格差が存在します。デジタル技術を使えるだけでなく、それを学習や仕事、さらには社会参加に結びつけられるかどうかが問われます。単なる利用にとどまらず、情報を価値に変えられるかどうかが大きな差を生むのです。
このように、デジタルディバイドは「持っている/持っていない」という単純な二分法ではなく、「どのように使えるか」「どれだけ活用できるか」という質的な側面まで含めて考える必要があります。
デジタルディバイドの原因と現状
日本におけるデジタルディバイド(情報格差)の主な原因は、大きく三つに分類できます。
第一に、経済的要因です。低所得層ではパソコンやスマートフォンを購入したり、安定した通信環境を整えたりすることが難しく、結果としてインターネット利用の機会が制限されてしまいます。
第二に、地理的要因があります。都市部に比べて地方や離島では通信インフラの整備が十分でない地域もあり、物理的な環境の差が情報格差を生み出しています。
第三に、教育的要因です。高齢者や教育機会に恵まれなかった人々は、デジタル機器の操作に不慣れであり、たとえデバイスを持っていても十分に活用できないケースが少なくありません。
このような要因が複合的に作用して、日本社会における情報格差を拡大させています。実際、総務省の調査によれば、70代のインターネット利用率は65.5%にとどまり、80代以上では33.2%とさらに低下しています。また、年収200万円未満の世帯では利用率が61.0%に過ぎず、経済的な制約が大きな壁となっていることが明らかです。



年収が高い層ほど、パソコンやスマートフォンを購入しやすく、安定した通信環境を整えることも容易なため、結果としてデジタル技術の活用度が高い傾向があります。
逆に低所得層では、デバイスや通信環境を整えることが難しく、そのことが教育や就労の機会を制限し、格差を固定化させる要因となっています。つまり、デジタル環境の有無が所得格差の拡大にも影響を与えているのです。
デジタルリテラシーの欠如がもたらすリスク
デジタルリテラシーが不足していると、現代社会においてさまざまなリスクが生じます。まず、情報を正しく見極める力が弱いために、フェイクニュースやオンライン詐欺に騙されやすくなります。また、行政が提供するオンラインサービスを利用できず、必要な手続きが遅れるといった不利益を被る可能性もあります。
さらに、テレワークやリモート学習といった新しい働き方や学び方に対応できず、教育や雇用の機会を失うことにもつながります。加えて、SNSやインターネット上でのトラブルに巻き込まれるリスクも高まり、個人の安全や社会的信用を損なう危険性があります。
つまり、デジタルリテラシーの欠如は単なるスキル不足にとどまらず、情報弱者としての立場に追いやられるリスクを高め、最終的には社会的孤立や経済的困窮を招く可能性があるのです。



さらに近年では、AI技術の進歩によって現実に近いレベルの動画を生成できるようになっています。
もし悪意ある人々がこれを悪用すれば、フェイクコンテンツによって騙される人が急増する恐れがあります。
こうしたリスクを防ぐためには、情報弱者に対してデバイスを提供するだけでなく、同時にデジタルリテラシー教育を行い、正しく情報を見極める力を育てることが不可欠です。
解決への道:誰一人取り残さない社会のために
デジタルディバイドを解消するためには、単一の施策だけでは不十分であり、複数の側面からのアプローチが求められます。
まず重要なのは、インフラ整備です。地方や過疎地においても安定した通信環境を整えることで、都市部との情報格差を縮小することができます。
次に、教育支援が欠かせません。高齢者や障がい者を対象としたデジタルスキル講座を充実させることで、誰もが安心してデジタル技術を活用できるようになります。
さらに、経済的支援も必要です。低所得世帯に対してデバイスや通信費の補助を行うことで、経済的な理由による情報格差を緩和できます。
企業の側にも責任があります。UI/UXの改善や社内研修の充実を通じて、誰でも使いやすいサービスを提供し、従業員のデジタルスキルを底上げする取り組みが求められます。
最後に、政策の推進です。行政サービスをユニバーサルデザイン化し、誰もが利用しやすい仕組みを整えるとともに、サポート体制を強化することで、社会全体の包摂性を高めることができます。
このように、インフラ・教育・経済・企業・政策の五つの柱を総合的に進めることで、誰一人取り残さない社会の実現に近づくことができます。



まとめると、日本がデジタル分野に注力すれば、デジタルディバイドは徐々に解消へ向かうでしょう。その次に重要になるのは、デジタルリテラシーをいかに育成するかという課題です。特に高齢者はデジタルリテラシーの習得が難しいと指摘されることがあり、社会全体で支援策を考える必要があります。
こうした課題に対して、どのような解決策を講じるべきかが、基本情報技術者試験でも問われるテーマとなっています。









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